この記事では、NAND型フラッシュメモリーの寿命目安についてまとめています。

「耐久年数」や「書込可能回数」の目安が知りたい方、寿命を延ばす方法を知りたい方は、良ければ参考にして下さい。

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NAND型フラッシュメモリーの寿命

NAND型フラッシュメモリーの寿命は、採用されている記録方式によって大まかに決まります。

記録方式 書込可能回数 寿命目安 セル:保存データ 価格 信頼性
通常型 3D NAND型
SLC 10万回 約10年 1セル:1ビット 高額 抜群
MLC 1万回 約7~8年 1セル:2ビット 高め 高い
TLC 1000回 3000~5000回 約2~5年 1セル:3ビット 安め 普通
QLC 300~1000回 1セル:4ビット 安い 低い
  • SLCは「入室回数に制限がある1部屋を1人」
  • MLCは「入室回数に制限がある1部屋を2人」
  • TLCは「入室回数に制限がある1部屋を3人」
  • QLCは「入室回数に制限がある1部屋を4人」で使っているみたいなもの

簡単に説明すると、MLC/TLC/QLC方式は、1部屋を使う人数を増やして「寿命を削る」代わりに「コストを下げたもの」になります。

関連記事:【NAND型フラッシュメモリー】SLC/MLC/TLC/QLC方式の違い!

 

記録方式と書込可能回数の関係

『SLC方式』と比べて、2倍の容量を保存できる『MLC方式』の寿命は「1/10」になり、3倍の『TLC方式』の寿命は「1/100」になってしまいます。

保存できる容量が「倍」なのに、製品寿命が「半分」に成らないことに疑問を感じた方も多いでしょう。

これは、NAND型フラッシュメモリーの構造的な問題が深く関わっています。

 

・NAND型フラッシュメモリーの仕組み

MLC/TLCの場合、短期間に複数回の書き込むので、トンネル酸化膜の劣化が加速化する。回数だけで比較すれば、MLCはSLCの2倍、TCLは3倍の書き込み頻度になるので、その分書き込み寿命が2分の1/3分の1になる計算だが、実際にはMLCはSLCに比べて1桁、TCLは2桁書き込み寿命が減少する。

引用元:ASCII.jp:半導体プロセスまるわかり 微細化の限界にあるNANDフラッシュ (2/3)

NAND型フラッシュメモリーは、電気を流すことによって製品内部に電子を滞在させ、データが保存される仕組みとなっています。

つまり、保存データの正体は「フラッシュメモリー内に滞在している”電子”」です。

そして、大容量化された『MLC方式』は、一度に「倍のデータ」を保存するために、電気を「より多く」流すことになります。

例えば、10kgの物を「足に10回落とされる」のと、100kgの物を「足に1回落とされる」のとでは、受けるダメージが同じで有るはずがありませんよね。

それと同じで、与えられる負荷が大きくなってしまうと、何倍も大きなダメージを受けることになり、製品寿命が大幅に短くなってしまうのです。

 

・ウェアレベリング

NAND型フラッシュメモリーは構造上に少し難点があって、これを改善するために「ウェアレベリング」と言う技術が搭載されています。

簡単に説明すると「寿命を延ばすための制御システム」です。

企業やメモリー製品毎によって採用システム(ウェアレベリング)が異なるため、同じ記録方式でも製品寿命が異なる要因の一つになっています。

ウェアレベリングについて詳しく知りたい方は、下記記事に分かりやすくまとめているので、良ければ合わせて読んでみて下さい。

関連記事:ウェアレベリングとは?メモリ製品の寿命を延ばす制御システムについて解説!

 

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記録方式と耐久年数の関係

それぞれの方式ごとに寿命が異なり最も長いSLCの寿命は約10年、MLCは7~8年、TLCは2~5年が寿命とされています。

引用元:USBメモリーの寿命の平均はどれくらい?延ばす方法は? (moov.ooo)

『SLC方式』は「1セル:1ビット」のデータしか保存しないので、セルに保存される電子が少なくなります。

『MLC方式』は「1セル:2ビット」のデータを保存することになるので、セルに保存される電子が倍となり、もちろん、フラッシュメモリーに掛かる負荷が大きくなってしまいます。

これが、製品寿命を短くしてしまう原因です。

 

・寿命を迎えたフラッシュメモリに起こる現象

一般的には読み込み不良よりも書き込み不良が先に発生するケースが多く、読み込みもできなくなっているUSBメモリーはかなり寿命が近いと見て間違いありません。

引用元:USBメモリーの寿命の平均はどれくらい?延ばす方法は? (moov.ooo)

画像や文章データだと、レイアウトが崩れたり、画像化け、文字化けしたり、最悪は、アクセスすることが出来なくなったりしてしまいます。

初期段階では一部のデータにだけ影響が出る程度なので、完全に寿命を迎える前に残りのデータを移すことが可能です。

 

・データの消失

「SDカード」や「USBメモリ」は、使わずに放置していると自然放電みたいな現象が起きてしまい、保存電子(データ)が消えてしまう場合があります。

長期保存に適したメモリー製品では無いので、長期保存には「外付けHDD」等を使用した方が良いです。

 

・寿命を延ばす方法

基本的に、フラッシュメモリーには『ウェアレベリング機能』が備わっており、その機能の一つに「劣化セル」よりも「非劣化セル」を優先的に使ってくれる機能があります。

そのため、未使用領域(空き容量)が多いほど「非劣化セル」を有効活用でき、製品寿命も延ばすことが可能です。

後は、断片化ファイルを整理して高速化が図れる「デフラグ機能」は、メモリー製品の寿命を削ってしまうデメリットがあります。

何度も繰り返し行ってもあまり効果が無いケースも多いので、不要なデフラグは控えてみて下さい。

関連記事:ウェアレベリングとは?メモリ製品の寿命を延ばす制御システムについて解説!

 

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